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クラウドAPI互換の問題点
以前から主張しているが、改めて述べたい。重要なのはクラウドの中のリソースのセマンティック(意味的な構造)であり、その表面上のAPIではない、という事である。
API互換は、かなり深いレベルまで互換性を確保しないと全く意味をなさない、と言う事である。
幾つか事例を通して解説をしてみたい。

#1:
EC2は幾つかのインスタンスタイプを提供している事は有名である。1~8個のコアCPU、512MB~8GBのメモリ、ディスク0〜4スピンドル、共有ネットワークと専有10Gbpsポート、等々。これらの多種のインスタンスをプライベートクラウドに構築するのは可能ではあるが、実際問題そんな簡単な話ではない。結果的にAWSと異なるインスタンスタイプのあるプライベートクラウドにAWS上の資産を動かそうとしても結構難しい問題が発生する。また、AWSのインスタンスタイプが必ずしもユーザのアプリケーションに最適なデザインであるとは限らず、事例としてカスタマイズしたインスタンス構成を自分で作るエンドユーザも非常に多いのが実情である。この辺はクラウドAPIとは全然次元の違う課題の代表として上げられる。

#2:
EC2 EBS Block Storageは非常にユニークが構造を持っているストレージクラウドである。それ故、好き嫌いも多いが、スナップショットや特定のI/O向けに多用されいているのが現状である。ただ、それは事実上無尽蔵にストレージを提供出来るAWS上でこそ効果を発揮する性格の技術で、小規模なプライベートクラウド上では、EBSと完全互換のストレージを提供する事はあまり意味が無い、と言える。API互換を追求するあまり、あまりシステムとしては効果の無い環境を提供する結果になってしまっては、あまり意味が無いのでは、と感じる。

#3:
AWSクラウドは、それぞれのリージョン毎に分離され、それぞれが独立してリソースを管理/運用している。障害管理(Disaster Recoery: DR)の目的で、東海岸に一イメージ、さらに西海岸にそのイメージのコピーを作りたい場合、ある特定の頻度でイメージをコピーして同期させる必要がある。多くのクラウド事業社は、こういった複数のリージョン間のイメージ管理を自動化、若しくは簡易化したサービスをAPIとして提供している。当然、各社とも、そのアプローチ、ましてやAPIはバラバラである。AWS互換のレベルとは全く次元の異なる世界である。

#4:
SoftLayer社は、世界各所で運用しているデータセンタとそれを繋ぐネットワークインフラを利用し、顧客に対して、グローバルなプライベートネットワークを提供するサービスを行っている。AWSのリージョン別戦略と異なり、拠点間のアドレスを統括し、一つのサーバシステムの様に見せることが出来る、というのが特長である。拠点間のサーバ管理、上位の業務運用がEC2と比較して非常に簡易になる、と言う事である。SoftLayerはその気になれば、AWS EC2互換をグローバルに提供する事も可能であるが、そうしたとしても、拠点間で運用管理をする為のツール、インスタンスの提供/管理を支えるアーキテクチャがAWSと大きく異なる為、クラウドAPIを共通化した所であまりユーザにとってメリットの無い話になってしまう。

要は、クラウドAPIはクラウド間の互換性やポータビリティを保証する要件にはなり得ない、と言う事である。単一のインスタンス上でサーバを数台起こす程度であれば、API互換は何かと重宝するが、一旦要件が、異なるクラウドへの拡張性、性能の最適化、コスト最適化、ガバナンス/コンプライアンス、障害検知/対策、等の対応を必要とする状況になった時点で、クラウドAPIだけでは到底カバー出来ない課題がうまれてくる。

Fusion-io ioDriveは、サーバ機のPCI Express(PCIe)バスに接続することでホスト側に直接アクセスし、ストレージのコントローラーを経由しないデータ処理が可能なNAND型フラッシュメモリ。ディスクI/O性能がボトルネックとなるシステムにおける処理時間を短縮させる。
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